インサイト ・ 2026.07.20

公益通報者保護法で企業は何をすべきか|内部通報体制の整え方と窓口に必要な要件

「内部通報体制の整備が義務になった」と聞いたものの、具体的に何を・どこまで用意すればよいのか——。担当者からよく寄せられる疑問です。本記事では、改正公益通報者保護法で企業に求められることを整理し、通報窓口が実務上満たすべき要件と、よくある不備を解説します。

本記事は制度の概要を分かりやすく整理したものです。個別の対応にあたっては、消費者庁の指針・解説や、必要に応じて専門家の確認をあわせてご参照ください。

何が義務化されたのか

改正公益通報者保護法により、常時使用する労働者が 300 人を超える事業者には、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備が義務づけられました。300 人以下の事業者については努力義務とされています。

ここでいう「体制の整備」は、単に相談先を設けることではありません。大きく次の 3 つが柱になります。

  1. 窓口の設置 — 通報を受け付ける窓口を定め、従業員に周知すること 2. 公益通報対応業務従事者の指定 — 通報を受け、調査し、是正に必要な措置をとる担当者(従事者)を定めること 3. 秘密保持・体制上の措置 — 通報者を特定させる情報の守秘、通報者への不利益な取扱いの防止など、実効的に機能させるための措置

通報者を守る仕組みが前提になる

公益通報者保護法の根幹は、通報したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いの禁止です。通報者が「報復されるのではないか」と不安を抱えたままでは、そもそも通報が上がってきません。制度が機能するかどうかは、通報者が安心して声を上げられるかにかかっています。

そのため、実務では次の 2 点が特に重要になります。

  • 匿名性 — 身元を明かさずに通報でき、その後のやりとりも匿名のまま進められること
  • 秘密保持 — 通報者を特定させる情報が、対応に関わる必要最小限の担当者以外に漏れないこと

窓口が実務上満たすべき 4 つの要件

「窓口を置く」だけでは、制度が求める水準に届かないことがあります。運用まで含めて成立してはじめて「体制」と言えます。窓口が実務で満たすべき要件を整理すると、次の 4 点にまとまります。

1. 匿名性の担保

メールや電話の窓口では、通報の時点で氏名や連絡先が受け手に伝わってしまい、匿名性を保ちにくいことがあります。通報者が身元を明かさずに通報でき、なおかつその後の追加ヒアリングや進捗連絡も匿名のまま双方向にやりとりできる仕組みが理想です。

2. 受付の独立性

通報の対象が、通報を受ける担当者自身になり得るケースもあります。この場合、受付担当と通報対象を分離し、案件ごとに閲覧できる担当を絞れることが求められます。弁護士や外部窓口など、独立した受付を組み合わせられるとより堅牢です。

3. 対応の証跡

「適切に対応した」ことを、後から示せる記録が残ることも重要です。誰がいつ通報を閲覧・対応したかが記録され、長期間対応されていない通報を検知できると、対応漏れを防げます。監査や外部からの問い合わせに対しても、記録があることが信頼につながります。

4. 多言語対応

人手不足を背景に外国人雇用が広がるなか、日本語を母語としない従業員からの通報を受け付ける手段がないと、通報の間口が実質的に狭くなってしまいます。通報者が言語を選んで利用できると、間口を広げられます。

よくある不備

  • 窓口を設置したが、従業員に十分に周知されていない — 存在を知られていない窓口は使われません
  • 匿名で通報できても、その後のやりとりで身元が分かってしまう — 双方向のやりとりまで匿名性を保てる設計が必要です
  • 対応の記録が個人のメールボックスに散在している — 証跡として残らず、担当者の異動・退職で失われます
  • 受付担当が固定で、通報対象になったときに独立性を保てない — 案件ごとの担当分離が求められます

体制整備を、仕組みで満たす

こうした要件を、メールや表計算ソフトの運用で満たし続けるのは負担が大きく、属人的になりがちです。内部通報システムを使うと、匿名受付・匿名のやりとり・アクセス制御・証跡・多言語対応といった要素を、標準の仕組みとしてまとめて満たせます。

シャノンが提供する内部通報システム SealGate(シールゲート) は、公益通報者保護法に対応し、匿名での通報受付から、通報者との匿名でのやりとり、受付担当のアクセス制御と独立性、対応の証跡と未対応アラート、多言語対応までを 1 つに備えています。標準の通報カテゴリと受付フローを用意しているため、最小限の設定で窓口を開設でき、導入から従業員への周知、運用の定着まで開発会社が支援します。